兄さんへ [むかいのこより上の兄へ]
兄さん好きよ。
女としてよ。
初恋だったの。
今でもそう。
信じない?
それよりも戸惑うわよね。
父親も母親もアル中。
そんな荒んだ家庭だからこれ以上厄介事はごめんだろうし。
兄さんの場合は「家庭だった」か。
もう都心の方で一人暮らしだものね。
10歳差。
兄さんと私。
26と16。
2人とも一緒になれる歳。
兄と妹でなければね。
24の下の兄さんは私が歪に兄さんが好きだってことを知ってるわ。
下の兄さん、ハヤトは私とよく似ているから。
顔だって瓜二つだしね。
私が長期入院中、兄さんお見舞いに来るとき
必ずテデイベア買って持って来てくれたわよね。
私中学生だったのに。
ハヤトは私が嫌がるのを面白がって
ウサギのぬいぐるみを必ず買って持ってきたわ。
「クマもウサギもいらないっ!」ってハヤトに投げつけてやったら
通りかかったナースにあげちゃった。
「君、新人? ラビットちゃんいる?」って。
似た顔がチャラいと本当に迷惑。
大量のクマとウサギどうしたと思う?
孤児院やら病院やらあちこちの施設に贈ったわ。
100円ショップでリボンやら包装紙やら買い揃えてちゃんとラッピングしてね。
こだまちゃんも手伝ってくれたわ。
こだまちゃんのことは兄さんもよく知ってるでしょ。
となりのこも手を貸してくれたけど
彼女、大雑把すぎるのよ。
きれいな包装なんてとてもとても。
だからリボンを切ってもらった。
となりのこには私の家庭のことから何から何まで
洗いざらい話したけれど
兄さんのことは言えなかったな。
さっさと打ち明ければよかった。
彼女なら私のことを思いっきり笑い飛ばしてから
「前に進めよ。」って言ってくれたのに。
でも躊躇っているうちに彼女はこの世を去った。
私の思いはどこへ行けばいいのかな。
アバウト ミー♪→ → 『となりのこ』
2008-12-29 14:10